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日本初のLCC(格安航空会社)ピーチ・アビエーションとの交渉報告




2012年2月27日にピーチ・アビエーション(以下ピーチに略)
と意見交換会を持ちました。ここに至る経緯をまず説明します。

2012年1月上旬にピーチの搭乗予約が開始され、
障害者は電話予約のみとのことで電話で予約をしようとしました。

そうしたところ会社の規定で僕の電動車椅子のサイズが大きいという理由で
予約は受けられないという返事でした。
その後車椅子の大きさだけで搭乗を断ることは疑問に思いましたので
国土交通省や会社側に搭乗を拒否しないでほしいという主旨の要望書を出しました。
そのことをマスコミに発表したところ1月30日に
中日新聞が社会面に大きく取り上げてくれました。

その直後にピーチ・アビエーションからも回答書が届き規定を変えて
「僕の電動車椅子でも搭乗できる」ということになりました。
その回答書の中で「3月1日の就航の前に直接意見を聞く意見交換会と、
ターミナル施設の見学会を僕たちと行いましょう」ということになり、
今回の意見交換の場につながったわけです。

当日はまず施設見学から始まり、
実際に搭乗する時の同じルートでターミナルから機内までを見学しました。
搭乗カウンターで手続きの後手荷物検査を経てバスで
駐機場まで向かいトラックのようなリフト車で飛行機自体の搭乗口に入るルートです。
貨物室の大きさも実際に見ることができました。


見学において気づいたことは
@移動するバスがワンステップバスでスロープの勾配はきつい
A機内用の車椅子に搭乗うカウンターで乗り換える予定なので
 長時間小さい機内用車椅子に乗り換えないといけない
B機内の乗員呼び出しボタンが席の天井にしか付いていないので
 手に障害があると呼び出せるか心配などということがあります。





見学で気づいたことを他に箇条書きすると
・関空はバスでいってタラップ。
 他の空港(福岡、長崎、鹿児島、札幌)は全部ボーディングブリッジ
・機材はすべてA320(180席。ANAなどは155席くらい。
 前後間隔が5cmほど狭い。
・手すりの付いたトイレが前後に1つずつある。
・シートは3列+3列
・車いすは、窓側、通路側どっちでも良い。
 ただし、同じ列には1名のみ(緊急避難用に)
・最前列は広い。追加料金かかる。しかし、最前列でも良い。
 ただし、追加料金を払う。
 (ネットで840円、電話だと1,050円、窓口だと1,260円)非常口座席はダメ。



見学会終了後にマスコミに公開した上で約2時間の意見交換会が行われました。
ピーチ側からは担当課長とマネージャーなど3名が出席し、
こちら側は、僕をはじめメインストリーム協会メンバーと大阪の障害者団体の方、
またDPI日本会議交通問題担当の方、13名が参加しました。

会議の内容は以下に詳しく箇条書きしていきます。また注目すべき場面の写真を掲載します。


1.LCCのビジネスモデルの説明(15分) 広瀬さん
・障害者は電話予約。5日前までに予約が必要。

Q:直前に予約できるように変更できないか?
A:車いすのみなさんにお乗りいただくにあたって、他者に人員の配置を依頼する。
   今後、もう少し短時間でできるようになる。検討する中でやりたい。

・ 電話予約の理由は快適なため、安全のため。
・ 肘かけが上がらない席は1列目と11列目の2列のみ。
・ 車いす搭乗の場合は、専用バスの手配。サポート要員の確保。
・ バッテリー危険物の確認。
・ 出発1時間前までにチェックインカウンターへ。
・ 車いすは右後方で乗る。左前方もあるかも?検討中。
・ トイレは右前方と左後方が車いすで使えるトイレ。右後方は手すりあるけど狭い。
・ 座席指定は追加料金必要。障害者は無料。ただし、最前列は追加料金あり。

Q:2012年に、バリアフリー新法の理念を想定してもらわないと。
  様々な障害の方の利用を想定してほしい。
  お客さんとして障害者がいるというのを前提として、
  ビジネスモデルをつくって欲しい。時代にあったところでのビジネスモデルが必要。
A:法律に則って運用する。
  どこまでできるのか試しながらできることをやらせていただきたい。

Q:大久保は電話の段階で断わられてた。言語障害重い人いる。
  オペレーターどのくらい聞き取れるのか?言葉がわからない人もいる。
A:コンタクトセンターの説明不足により、大久保様の予約取り消しになり申し訳ない。
  私どもでも今後の課題としたい。

Q:ネット上でフォーマットつくってるからそのまま送信できるようにしたらいい。
  他社はFAX。ネット予約ない。
A:みなさまとお話し合いをしながら双方に良い方法にしたい。

Q:実際に搭乗しないとわからないこともある。
  モニタリングなどどうやってひろっていくのか?
A:今回の話し合いもそうだし、
  今後大久保さんが利用されるときなど改善できるところはあるかもしれないし。

Q:電話予約のセンターがなかなかつながらないこともあるので、
  スカイマークとかは障害者なら障害者だけの回線を持っている。
  とりあえずは回線を別にしてもらって、
  もうちょっと予約しやすくしてもらいたいと思います。
A:電話がつながりにくい件は他のお客様からもご意見いただいているので、
  つながりやすい環境にはどうしたらいいか検討している。
  障害者専用のラインは、今後のコールセンターの運営に役立てていきたい。

Q:LCCが他にも増えていくので、
  一番最初で他にも進んだ形で柔軟なルールを考えて、
  運行する中で細かいルールを改善して欲しい。

●今までの経緯
当社では貨物部門がない。他社はコンテナに車いすを入れて貨物室に載せる。
当社は車いすは身体の一部と認識していた。
他の荷物とあたって壊れるということがないように、
飛行機の後ろのバルブとう部屋に搭載することを検討していた。
バルブは他のお客様が載せる荷物と別の場所。傷つかない。荷物を取り出しやすい。
しかし、大久保さんのご予約で大きなサイズの車いすも搭載する場所が必要とわかった。
貨物室に大きなサイズの車いすを載せる。
搭載時の固定は、床面にフックがあり、そこにベルトで固定する。
社内で担当者かき集めて、どうしたら大きなサイズの車いすを載せれるか検討し、
運用を見直す。大きさはドアのサイズで決めた。

●定期的な話し合い、研修について。
A:今後もこういった会を開かせていただきたい。
  研修はその発展系として意見交換なりトレーニングなりどこかでさせていただきたい。

●問題点
・新ターミナル完成前にもチェックさせて欲しい。
 関空の持ち物なので、申し伝えておきたい。
  → 関空にも要望。
・チェックインカウンターでスタンダード車いすへ乗り換え
  ← 改善要望。シップサイドまで。
・バス前の待ち合わせ室まで。段差3つ。
・新ターミナル、おそらくバスでターミナルまで移動になる。
・機材はすべてA320か?
  → そう。
・車いすが搭乗できる人数の制限あるか?
  → 8人。日常の動作できる人はOK。介助者ありなしは関係なし。
・呼吸器乗れるか?国交省から指示されているものは大丈夫。
・ベルト持ち込みOK。
・車いすのサイズ(140×140×120)はOK。
・機内での移乗時介助必要。本人に必要な介助を聞き取って欲しい。
 ある前提で聞き取っていただきたい。

●まとめの要望
・ シップサイドまで自分の車いすで行けるように。
・ 障害者の電話予約は5営業日前までになっているが撤廃してほしい。

いずれにしても3月から飛び始めた新しいLCCという形態の
航空会社なので障害当事者がどんどん搭乗して意見を
定期的に言っていけば今まで以上の障害者にとって
乗りやすい航空会社に変わる可能性を感じました。
今年は国内線で他に2社LCCが就航するので皆さん
どんどん乗って意見を言っていきましょう。




★ピーチとの交渉以降に次のような動きがありました。
(2012年3月29日追加分)

1.DPIと共同で国土交通省航空局航空事業課との交渉
  (3月7日、東京にて、国交省から3名)

@来年度策定する航空事業関係のガイドラインに
 今回の問題で浮き彫りになった車いすの積載の
 方法などを盛り込んでいきたい。
 そのために搭乗拒否事例をどんどんあげて欲しい。

A今回の事例は国土交通省の幹部会議をはじめ全省の
 共通の問題意識として持っている。
 これを教訓に本省としても 今後の施策づくりに積極的に生かしていきたい。

B今後はこのような事案がニ度とないように航空会社全社に伝えていく。
 国としてもこういう部分(ホスピタリティ)において切磋琢磨して欲しいので、
 LCCはじめ新規参入の航空会社を奨励してきたところだ。

Cこれから増えるであろうLCCや空港の専用ターミナルには
 バリアフリーが浸透するようにしていきたい。
 関西空港にはLCCターミナルが建設中なので関西空港会社には申し伝える。

D今後も搭乗の感想も含めて話し合いをするのは歓迎する。

2.関西国際空港株式会社との交渉
 (3月15日、関西空港にて、関西空港会社から5名)

@ピーチが現在使用中の暫定ターミナルを見学しながら問題点をチェックした。
 待合室のイスには移動困難者優先席の表示をつけることになり、
 航空機へのバスに乗るバス停では勾配が急なスロープを
 緩やかにすることをお願いし、検討することになった。
 バスのスロープ勾配が急なのでバス停自体のかさ上げを要望し、
 検討事項となった。
 暫定ターミナルの使用は8カ月だけなので、早急な改善をお願いした。

A秋に完成予定のLCC専用新ターミナルは現在のターミナルからバスで
 7分程度の二期島に建設中であるが、
 出発階の1階部分はすべてフラットで到着階の2階部分からは
 エレベーターは設けずに、すべてスロープで移動してもらう。
 トイレの箇所には必ず一基ずつ多目的トイレを設置する。ということなので、
 計画への障害当事者の参画と併用開始前の現場見学をお願いした。
 見学については竣工後で併用開始前に
 見学の場をつくりたいとのことだった。
 要望があれば、いつでも話し合うということだ。

B現行ターミナルから新ターミナルまではシャトルバスで輸送することになるが、
 必ずノンステップバスで車いすが複数台乗れる車両の導入をお願いし、
 積極的に検討するということだ。

3.関西空港交通リムジンバスの問題(3月15日乗車)

@上記の関西空港会社との交渉のために、
 JR西宮駅から関西空港までのリムジンバスに乗車しようとしたが、
 乗車したバスがトランクルームに棒があることで電動車いすを積載できなかった。
 バス自体の出発時間が遅延した上、
 電動車いすだけを後続の阪神バスの車両に積載して関西空港まで行った。
 到着後、電動車いすが来るまでの間、
 空港の貸し出し用の手動車いすに乗って待つことになった。

A以上のことから同一路線のリムジンバスであっても
 バス会社の車両の違いにより電動車いすを
 積載できるかどうかが変わることがわかった。
 同一路線のリムジンバスであれば、
 電動車いすを積載できる車両に統一して欲しいと関西空港交通に要望した。

B空港リムジンバスにおいても路線バス同様に
 ノンステップバスが導入されるべきで
 今後、当該のバス会社と交渉していきたいと思う。

4.ピーチの航空機に初搭乗(3月22日関西―福岡便)
  朝7時20分閑空発福岡行きに搭乗。

@エアロプラザのカウンターで機内車いすに乗り換えるので、
 飛行機に乗るまでの30分以上は自分で身動きできず、
 お尻も痛くなる状況でシップサイドでの乗り換えの必要性が身を持って痛感した。

A暫定ターミナルの渡り廊下は段差解消ゴムが既にはずれていたりして、
 ずさんな整備状況だった。
 8か月間使用の暫定ターミナルにしても安全性のある整備が求められる。

B駐機場までのバスはすべてワンステップバスなので
 機内車いすで乗る際には怖さを感じ車いすのスペースの
 固定もバスの乗務員が手間取っていた。
 もっと優れたバスに契約してノンステップバス化は必須課題だ。

C車いすの梱包方法やCAの話し掛け方など不慣れな点もあるので、
 障害当事者の参画の上での研修が必要だ。

D着空港ではすべてボーディングブリッジが使われていたのにも関わらず、
 到着ロビーでの車いすの受け渡しだったので、
 ゲート脇での車いすの受け渡しが必要と感じた。

 文責・大久保