権利擁護事業 


阪急バス株式会社と交渉しました。




 1月31日、メインストリーム協会事務所2階で阪急バス株式会社(以下、阪急バス)と乗務員の接遇等について話し合いを行いました。
阪急バスとは、2007年から毎年話し合いを続けており、2009年の話し合いの時には
メインストリームの障害当事者が実際にバスに乗車し乗務員の対応等を調査し、100件以上の調査データを基に乗務員の接遇改善を要望しました。
今回も一昨年度と同様の調査を行い、前回のデータと比較しながら、以下の事項について要望しました。

@ノンステップバスの導入を推進してください。
Aダイヤの遅延や混雑時に車椅子ユーザーの乗車拒否をしないでください。
B乗務員の接遇の改善のため、当事者参画の上で研修を行ってください。
C運賃の支払いが困難な人に対して、支払いの介助をするよう徹底してください。
DJR西宮駅北側ロータリーにおいて、車椅子ユーザーが乗車する際の対応を統一してください。

以下、話し合いの内容のポイントをまとめました。

ノンステップバスの導入の推進について

車椅子ユーザーにとって、バスの乗降口の段差がないノンステップバスの導入が進むことはとても大切です。
近年では、バスの低床化が進んでいますが、未だに車椅子で乗ることができない2ステップバスもあるため早急に全てのバスを低床化することが求められています。
また、低床バスでも段差が一段ある1ステップバスはスロープを出す際に勾配がきつくなるため、乗降が難しく、危険も伴います。
車椅子ユーザーだけではなく、高齢者の方も乗り降りに負担がかかります。
そのため、私たちはノンステップバスの導入推進を要望しました。
それに対し、阪急バスの現在の導入状況と今後の導入計画は以下の通りでした。

ノンステップバスの導入状況と導入計画
阪急バス全体

      低床バス全体  
   車両総数 2ステップバス  1ステップバス  ノンステップバス 
台数  880  198 387  295   682
導入率    22.5% 44.0%  33.5%  77.5% 
 前回比  2台増  126台(14.4%)減 66台(7.4%)増  62台(7%)増  128台(14.4%)増 
(2011年11月現在)

バリアフリー新法の目標数値に習い、国や市等の補助を活用しながら、平成32年までにノンステップバスの導入率70%達成を目指しているそうです。
今年度は2012年3月末までに、13台ノンステップを含む19台を導入予定しており、来年度も10数台導入するとのことでした。


西宮営業所
        低床バス全体
   車両総数 2ステップバス  1ステップバス  ノンステップバス 低床バス 
台数  36  1 10  25   35
導入率    2.8% 27.8% 69.4%  97.2% 
 前回比  3台増 5台減 2台増 6台増 8台増
(2011年11月現在)

西宮営業所のノンステップバスの導入率は69.4%で、来年度には70%超えるとのことでした。
残り1台の2ステップバスは基本的には走っておらず、週に2,3日くらい他のバスが点検・修理などの時に代車として使っているそうです。
以前、甲山方面はノンステップバスを走らせにくいという問題があったっが、道路整備して走りやすくなったので今は走らせています。

混雑時やダイヤ遅延時における乗車拒否について

バスが混雑しているという理由やダイヤが遅れているという理由で、低床バスであるにも関わらず乗車を断られたケースがありました。
健常者の場合では、このような理由で断られることはありません。
また、他の乗客に移動してもらえば乗れそうでも、一方的に断られたケースもありました。
そこで、混雑時やダイヤ遅延時においても確実に乗車できるよう努力してほしいということを伝えました。
また、道路運送法13条において乗り合いバスは正当な理由なく乗車を断ってはいけないという規定があるということを知っているか確認しました。

阪急バスの回答は「乗車を断ってはいけないという規定は認識しており、混雑時や遅延時に乗せようとしないという対応は間違った対応です。
今後このようなことがないよう指導を徹底していきます。」とのことでした。


接遇と研修について

2011年の春から夏にかけてメインストリームのメンバーで阪急バスに乗車し、乗務員の対応について調査をしました。
その結果は以下の通りです。

運転手の態度
  2009年   2011年
親切・丁寧   60%  42%
普通  19%  28%
嫌そう  21%  24%

スロープの出し方
   2009年  2011年
良く知っていた   83%  77%
あまり知らなさそう  17%  19%

車イスの固定方法
   2009年 2011年 
良く知っていた  44%  23%
 あまり知らなさそう  38%  37%
 全然知らなさそう  18%  40%


このように乗務員の対応は2年前と比べて改善されていませんでした。
その他にも、車いすの固定については固定するかどうかも聞かないというケースが6割にも上りました。
固定をお願いしようとしたところ運転席に戻ってしまい、固定が出来ずに危険を感じた人もいます。
また、言語障害のある人に対する対応が悪い、車椅子の扱いを知らないなど障害者に関する知識や理解が不足していると思われるケースも少なくありませんでした。

接遇が良くない時の原因は3つに大別できます。
1障害者に対する偏見を持っている。他の客と同じ市民だという認識がない。
2車椅子ユーザーに対する接遇を業務のひとつとして必ずしなければいけないと認識していない。どのような配慮・接遇をしなければいけないか分かっていない。
3車椅子やスロープ・固定装置の構造や使い方を知らない。

これら3つ全てを改善しなければ適切な接遇はできません。
この事を説明した上で、障害者への偏見をなくし、どのような配慮をしなければいけないかを理解するためには当事者の視点が必要だという事を伝えました。
阪急バスの回答は、各乗務員にマニュアルを渡して、固定方法等の研修もしているという事でした。
しかし、改善されていないという事実を受けて、現行の研修では不十分であったため、当事者の参画も含め研修の方法を変えていくとのことでした。
また、今回対応が悪かった乗務員については個別に伝えて改善をしていくという事でした。




運賃の支払い介助について
手に障害のある人が単独乗車する時、運賃の支払いを乗務員に手伝ってもらう事があります。
しかし、今回の調査では24%が支払い介助を断られ、運転手によって認識のばらつきがあることが分かりました。
「乗務員がお金をとってくれようとするのを、前に停まっていたバスから他の乗務員が来て、財布を触ってはいけないからやめとけと制止された」という人もいました。
障害者に対して支払い介助をすることは、車椅子ユーザーにスロープを準備するのと同じくらい大切な配慮だとわかってほしいと伝えました。
その上で、支払介助について阪急バスはどのように考えているのか聞きました。

阪急バス
「財布を触ってはいけないとは決まりはありません。
ただ、健常者の乗客から運賃を乗務員が手渡しで受け取ることは、誤解をまねくこともあるので原則禁止しています。
しかし、障害があり手伝いが必要な乗客には臨機応変な対応をしていかなくてはいけないと指導しています。
これからは臨機応変ではなく、具体的に場面を想定して指導していきます。」


今回の話し合いで、来年度以降メインストリームと阪急バスで協力し、乗務員の研修を行っていくという方向性で一致することができました。
今後も阪急バスとの連携をとって、よりよい路線バスの実現を目指します。

(文・植木)






 
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